料理のレシピで使われる言葉が理解できないことを漫才の形式で面白おかしく会話しているラジオCMを耳にしました。確かにレシピの表現は具体的、抽象的、感覚的な言葉が入り組んでいる特殊な文章ですね。
「塩少々」、少々ってどのくらい?
「強火」ってどれくらい強い?
「一口大」って個人差あるじゃん。
「さっくり」ってなんだ?
「適量」って?
私は大学卒業まで実家暮らしで、料理を一切したことがなく、いざ一人暮らしを始め、料理にチャレンジした時の最初に困ったのがまさにこのレシピの表現だったのでよくわかります。誰でも共通してわかる表現、具体的な分量にしてくれないと加減がわからなくて、味が濃すぎたり、強火にしすぎて表面だけ焦がして中が生だったりと失敗もかなりありました。
失敗すると悔しくて、成功するまで何度でもチャレンジしました。私は毎日同じものを食べていても苦にならないので、もはや料理というよりは専門店でも作るのかと言わんばかりに修行のように何度もペペロンチーノを作ってニンニク臭くなったりしましたが、結果的にそれで様々な「加減」が見えてくるようになりました。
かと言って別に料理がそこまで上手ではありませんが、長年料理をしてきてわかったのがレシピ通りに作ることが大切なのではなく、レシピを参考に「自分が美味しいと思うものを目指す」ことが大切なのだとわかりました。
ただ、自分が美味しいと思っても、他の人がマズいと感じるようだったらそれは問題なわけで、そこは一般的に美味しいという味を知ること、多くの人が美味しいという料理を自分も食べてみる、要するにお店に行ってプロの味を知るなど、自分の感覚を磨くことが大切なわけです。
さて、なぜこのブログで料理の話をしたかと言いますと、もうおわかりだと思いますがトランペットの練習や演奏は、料理と大変似ています。
音楽におけるレシピとは楽譜のことです。楽譜通りに演奏することは大切ではありますが、楽譜に書かれていることは数学的で完璧な分量ではありません。
例えば「少し」を意味する「poco(ポーコ)」。少しって、どのくらい?
強弱記号の「f(フォルテ)」や「p(ピアーノ)」。強い?弱い?それだけでいいの?
「Andante(アンダンテ)」ってどのくらいのテンポ?
よくよく楽譜を見てみると抽象的なことばかりが書かれているのに気付きます。「このフォルテは〇〇デシベルで演奏すること」とか、そんなコンピュータのプログラムのようなことはどこにも書かれてはいないのです。
そこで先ほどの料理レシピです。
料理は「自分が美味しいと思うものを目指す」ためにあり、レシピはそのための参考資料のような存在なのです。ですから、自分が最も美しい、良いと思われる表現、演奏を楽譜に書かれた情報を元に作り上げていく(演奏する)というスタンスでありたいのです。
しかし、自分が良いと思っていても、周りの人、演奏を聴いてくれる多くの人が「それは変だ」と思うようだったら困るので、たくさんの人が美しいと感じる演奏を自分も聴くなどのセンスを磨くことが大切です。
楽譜という存在が完璧なもの、正確に再現しなければならない数学的な存在と思い込みすぎると、自分自身の作品に対する想いを表現する余地がなくなったり、音楽という存在そのものがよくわからなくなってしまいます。
料理をする時も音楽をする時も結局はバランスが大切、というわけですね。
それではまた来週!
荻原明(おぎわらあきら)
[明日締め切り]トランペットオンライン講習会、次回は12月13日(日)「アーバン金管教本について 後編」です。ぜひご参加ください!
トランペットから音を出さない聴講型のオンライン講習会なので、ご自宅からでもご参加可能です。次回はついに最終回!テーマは「アーバン金管教本について 後編」です。
アーバン金管教本の具体的な使用方法例について、今回は主に教本中盤部分から「長音階」「半音階」「半音階での3連符」「音の跳躍」をピックアップして、それを行う意味と練習方法例を解説します。
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