夏休みということもありますし、少し趣向を変えて音楽を職業にすること「音楽のプロ」についてお話ししてみようと思います。
とは言え私自身「プロ」という言葉が好きではありません(自覚がないわけではありませんが、自分で自分のことを「プロ」とは呼びません)。今回のお話しをする上で、そして分類上は必要な言葉だと思いますので今回は使おうと思います。
将来音楽を職業にしたいと思っている方の(現時点での)参考になればと思います。
ただ、最初にお伝えしますが、希望に満ちた表面的にポジティブな内容ばかりではなく、多少現実的なお話を含めていくので、その点はご了承ください。
音楽のプロは線引きが曖昧
例えばゴルフはプロテストを通過することで「プロ」という肩書きを手に入れることができます。将棋も四段まで上れると「プロ」と呼ばれるのだそうです。このように世の中にはプロとアマの線引きが明確なものが多いのですが、音楽にはこの線引きが非常に曖昧です。
言ってしまえば誰でも「プロです!」と名乗ることができてしまう。
もちろんプロオーケストラに所属しているなど、具体的な肩書きを持った方もいらっしゃいます。しかし、音楽関係のお仕事はそれだけではありませんので、それぞれに線引きするのが難しいのです。例えば、音楽大学を卒業した人が、同級生と一緒にアンサンブルの演奏会を有料で開催しました。経費を差し引いてチケット収入を分配したらひとり3,000円もらえました。これはれっきとした収入です。収入ではありますが、これだけで「私はプロで活動しています」と言えるのかどうなのか、これは難しいところだと思います。
このように音楽の世界には具体的な資格も、すべての音楽家を統括する組織もないためにプロとアマの線引きをすることが難しく、先ほど言ったように「私はプロです」と言ってしまえば誰でもプロになれる不思議な世界なのです。言い換えればプロと言っても音楽で収入を得ているかを見た目で判断することはできません(コンサートを開催したからと言って収入があるとは言い切れない)。
要するに第三者が「この人は音大を卒業している(学歴、プロフィール)」「この人はプロのオーケストラで演奏している(所属)」「有名なバンドの中で演奏している(事実)」「この人は演奏が上手だ(第三者による評価)」「この人はお金を取ってコンサートをしている(金銭面)」などによって「この人はプロだ」という極めて小さな範囲で認識されているにすぎないのです(自称プロを叫び続ける方法もあります)。
ちなみに、私個人の定義としては、演奏活動やその他音楽に関係している活動によって報酬を得ている(と思われる)人はどのような条件であれプロだと位置付けています。ですから、「プロ ≠ 超一流 ≠ 全能」なのです。しかも、音楽の仕事は多岐にわたりますから、ある分野に関してのみ超一流ということも当然たくさんあるわけで、結果的にその人の何を見たのかによって第三者の評価にバラつきがあることも把握しておくべきです。
様々な音楽の仕事
音楽に関わって報酬を手に入れると言ってもその内容は多岐にわたります。しかも時代によってどんどん変化します。ですので、ここでは私が思いつく限りの音楽のお仕事をまず大きなカテゴリーに分けて紹介してみます。
演奏のお仕事
演奏をして報酬をもらう仕事です。トランペットに限定して言えば、オーケストラや吹奏楽、ジャズ、ポップスのライブ、レコーディング、テーマパーク、結婚式、メディア関連の演奏などがあります。楽器や専門のジャンルなどによって活躍する場が変わっていきます。
教育・研究・執筆のお仕事
音楽教室の講師、小中高の音楽の先生、吹奏楽部などの団体への指導、音楽大学や専門学校の講師、リトミックなどの幼児教育、音楽療法、音楽に関する研究者、出版物などの学術的な執筆など。
楽器店・リペア・楽器製造のお仕事
楽器店の店員さんや、楽器の修理・製造をするお仕事。
いわゆるユーチューバーやブロガーとして音楽に関することを配信する
インターネットを利用して音楽に関わる様々な仕事(方法)。
いかがですか?演奏家という響きなんて特に憧れる方、多いと思います。ただ、ほとんどの場合、例えば演奏活動をしつつ、レッスンをするなど、ひとりで複数の内容を手がけています。その理由は…もうお察しいただけるかと思いますが。
次回はこれらのお仕事をより細かく分けてひとつずつ解説していきますので、引き続きご覧ください。
それではまた来週!
荻原明(おぎわらあきら)
オンライン講習会 次回は8月21日(土)のトランペット講習会です
8/21はオンラインレッスン形式での「アーバン金管教則本」より、トリプルタンギングとダブルタンギングについて、仕組み、体の使い方、具体的な練習方法など原理から実践までを丁寧にお伝えします。
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