#127.音楽大学 その5(音大に入らないとプロになれない?)

さて、音大のお話をいろいろしてきましたが、こんな疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。


「音大行かないとプロになれないの?」


結論から言うとNOです。別に行かなくてもいわゆるプロにはなれます。


以前このブログでも書いたように音楽の世界は資格もなければ全音楽家を統括する組織もありませんから、誰でも名乗れば自称プロになれます。ただし、今回の場合は、きちんと演奏活動なり音楽活動を主軸として生計を立てられている状態をプロと考えて話をしていきます。

確かに、クラシックの世界で演奏家として活躍しているそのほとんどの方がどこかの音楽大学を卒業されているのはプロフィールを見てもわかりますから、音大を卒業しないで音楽の世界で活躍されている方はかなり少ないと考えて良いでしょう。


それはなぜか。


これまで複数回にわたって音大のお話をしてまいりましたが、音楽家としてのスキルを手に入れるためには、演奏だけでなく様々な研究、学び、経験が必要になることがわかったと思います。音大では、それらすべてを学ぶことができるため、言い方が正しいかわかりませんが、非常に効率が良いのです。もし音大に入らず、音大と同等の学びと研究、経験を得ようと思ったら、物理的(時間)限界が来てしまうと思われます。


また、音楽大学では音楽の教員になるための単位を取得できますが、こうした資格を個人で手に入れるのも相当大変だと思います。


同じ志を持った人が複数集まることでできる合奏なども個人で実践するのはほぼ不可能だと思いますし、カリキュラム的な側面だけでなく、仲間同士の繋がりや刺激、情報提供、大学から演奏会などの機会を与えられること、そして大学は研究機関ですから、図書館などを積極的に利用する権利などもやはり音大に入るからこそ得られるものです。


やはり専門に学べる機関というのはそれなりに充実しているわけです。


では、音大に入らずともいわゆるプロになるためにはどのような可能性があるか、と言いますと、著名なコンクールで優勝するなどはきっかけとして大きいでしょう。また、高校卒業と同時に自衛隊や警察官になり、音楽隊に入隊するなどは非常に現実的で、このようなストーリーであれば音大に入らずともプロになれます。


他にも、インターネットの普及により今までになかった可能性が現れるかもしれません。


ということで5回にわたって音楽大学に関するお話をしました。音大受験なんて関係ないという方にはつまらなかったかもしれませんが、ひとつの独特な世界を覗けたのではないか、と思います。


それでは、また次回!



荻原明(おぎわらあきら)

10月31日(日)オンライン講習会2021反省会ライブ配信開催

今年のオンライン講習会がすべて終了しましたので、YouTubeにて反省会ライブを開催します。お気軽にご視聴ください!

URLはこちら

https://youtu.be/N_G2EukVmi8


お気軽にご視聴ください!

ラッパの吹き方:Re

隔週土曜日の朝更新トランペットと音楽についてのブログ「ラッパの吹き方:Re」 タイトルの「Re」は「Reconstruction(再構築)」とか「Rewrite(書き直し)」の意。 なので「ラッパの吹き方 ”リ”」と読んでください。 荻原明(おぎわらあきら):トランペット奏者、東京音楽大学講師、プレスト音楽教室講師