#135.調子が悪い時の前向きな考え方

トランペットが思うように吹けない、今日はなんだか調子が悪い、昨日はあんなに気持ちよく吹けたのに、こんなはずじゃないのに、いつもはもっとできるのに…!トランペットを演奏していると、自分の演奏に納得ができる時と、そうでない時の差を体験したこと、みなさん必ずあると思います。


できることなら毎回気持ちよく、納得できる演奏をしたいところですが、そうならないことのほうが多いかもしれません。特に、この現象は経験年数を重ねれば重ねるほど起きやすくなります。コンディションを一定に保つことはトランペット奏者にとって難しいことである、と言えるのかもしれません。


コンディションのムラをなくす最も重要な防衛策は、毎回の丁寧で意味のあるウォームアップです。私の持論ですが、毎回同じメニューを実践することで前回との比較、自分の実力の平均値と比較をして、調子が悪い場合は具体的にどこがどのようになっているのか原因を冷静に見つけ、理論的な側面から解決していくのです。これでかなり安定した状態になるのですが、それでもなお、コンディションのバラつきは起こります。


それらの具体的な理由は次回以降でお話ししますが、今回まずお伝えしたいことは、調子が悪くなった時の前向きな考え方です。


私たちの多くは、風邪をひくと「自分はもう死んでしまうのかもしれない」などと勝手に悪い方向へ考えが及んでしまうように、トランペットの調子が悪いと、それがあたかも自分の実力であると錯覚してしまったり、下手になったのかもしれないと恐れを感じてしまうなど、ネガディブな発想を持ちやすくなりますが、そうした心の状態がコンディションの改善を妨げる大きな原因でもあるため、まずは前向きに捉えてほしいと思います。


1.自分自身のレベルが上がった

山の高いところに登ることで、それよりも下にいたことを知ります。同じように自分が調子が悪いとか、これまではもっと上手に吹けていたのに!と感じられるのは自身のレベルが上がったからである、と考えてみましょう。


2.理想を持っている

目指す理想を持っているために現状に納得がいかないのです。「別に吹けなくてもどうでもいい」「間違えても、楽譜と違うことをしても構わない」と思っている人は調子が悪いなど思うこともありません。ですから、「こんな音を出したい」「かっこよく演奏したい」と自分を納得させたいと思っているのは、その目指すものがあるからです。


3.客観的に見ている

したがって、調子が悪いと感じても決して悲観する必要はありません。それどころか、そんな調子が悪い自分を理解できているのは客観視できているからとも言えるわけで、その力は音楽においてとても大切な力なのです。


「スランプ」という言葉がありますが、これは今回お話しした状態の、ネガティブの沼にはまってしまった状態で、考えすぎてどうしたら良いかわからなくなってしまったり、理想が高すぎて途中の段階を無意識に飛ばそうと苦労している時間と言えます。決して悪い状況ではないのですが、考え方やアプローチを少し見直すことで解消される可能性もあります。


いかがでしょうか。納得のいく演奏をしたいのは当然ですが、ネガティブな発想になりすぎると成長の妨げになりかねませんから、今回のようにまずはポジティブに捉える発想を持ち、目指すメンタル方向を見失わないようにしましょう。


次回以降は不調の具体的な理由や、その対策についてお話ししますので引き続きご覧いただければと思います。

それでは、また来週!



荻原明(おぎわらあきら)

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隔週土曜日の朝更新トランペットと音楽についてのブログ「ラッパの吹き方:Re」 タイトルの「Re」は「Reconstruction(再構築)」とか「Rewrite(書き直し)」の意。 なので「ラッパの吹き方 ”リ”」と読んでください。 荻原明(おぎわらあきら):トランペット奏者、東京音楽大学講師、プレスト音楽教室講師