前回「譜読みの範囲」という記事を書きました。
簡単にまとめれば、『その作品を譜読みする、というのは最初から最後までを見ておくことである』というお話。そちらもぜひご覧ください。
さて今回も譜読みのお話です。
前回同様、少し目線を高めに設定したお話です。志が高い方や音大受験生、音大生の方はぜひ積極的に実践してほしいと思いますが、趣味で楽しく演奏されている方は、できる範囲でチャレンジしてみてください。
時間がないって、本当?
さて、新しい楽譜を渡され、次の合奏やレッスンまであまり時間がないとしましょう。それなのに他のスケジュールも入っていて忙しい!譜読みする時間がない!そんな時あなたはどうしますか?
「すいません、時間がなくて譜読みできませんでした」
と正直に言いますか?確かに、ウソをつくよりもずっと良いですが、できるなら少しでも譜読みを進めたいものです。
特にアンサンブルや合奏の場合、誰か一人でも演奏できないと曲にならないので、周りに迷惑をかけたくない!と思う気持ちで努力して欲しいと思います。
ということで、今回は「限られた時間の中でできる限り形にする」ための対策や方法についてお話しします。
楽器が吹けなくてもできることはたくさんある
ちょっとイジワルな言い方になりますが、「時間がない時間がない」と言っても、本当に自由な時間がまったくない人などどれくらいいるでしょうか。例えば、予定と予定の間に30分とか、食後、休憩時間、移動時間、寝る前や起床後、考えてみるとスキマ時間って結構あるものです。
ではなぜ時間がないのでしょうか。それはきっと「譜読みの時間がない」イコール「楽器を吹く時間がない」と言っているのではありませんか?
しかし、楽器が吹けなくてもできることはたくさんあります。いくつか挙げてみましょう。
[楽譜と対峙する]
パート譜やスコアを開いて、作品の特徴や構造を知ったり、リズムを読み取ったり、(できるなら)音を取ってみる。少しずつでもスキマ時間でできるはずです。楽譜をデータにしてしまえば、移動中の電車などでも見ることができますね。スコアを見ることで、自分の担当パートの重要箇所を見つけるなども見えてきます。
[音源を聴く]
他の作業をしながら、その作品の音源を流す。移動中にイヤホンで聴く。これも作品を知る上では有効です。ただ、特定の音源ばかりを連続して聴いてしまうと、無意識に暗記してしまい、「そう演奏しなければならない」と勘違いしてしまうので、注意しましょう。いろいろな演奏を聴いてみてください。
[楽譜への書き込み、製本]
楽譜を読んでいて、演奏中にミスしそうな箇所があったら事前に書き込みによる対策をします。例えば、ミュートのon/offや、D.Sやコーダの飛ぶ先をわかりやすく記すなどです。ただし、たくさん指番号を振るとか「まちがえない!」と直接書き込みするのは逆効果です。また、楽譜の製本もスキマ時間でしましょう。特別な事情がない限りバラバラな状態の楽譜で合奏やレッスンに臨むのは避けるべきです(落下や紛失などのトラブル防止)。
ちなみに、ハサミやカッターを使わないで簡単にできる製本の動画を以前作ったのでぜひご覧ください。
[ピアノで弾く、歌う、リズム練習]
トランペットはどうしても音が出せる場所が限られていますが、ピアノや歌程度であれば問題ない場所は結構あります。特に電子ピアノやキーボードならヘッドホンで弾けますし、これらの方法で音取りをするのは大変効果的です。in Bの楽譜を実音(in C)で弾けるスキルも身に付くわけで、一石二鳥ですね。
[調べる]
作曲者について調べてみたり、その曲が作られた経緯を調べてみるのも意義があります。作曲者の他の作品を聴いてみるのも良いですね。インターネットでも良いですが信憑性の低さが若干心配なので、その場合はいくつもページを見てどれが正しい情報か見抜けるようにしましょう。有名な作曲者であれば図書館などで伝記などを見つけて読んでみるのも良いでしょう。
[イメージを膨らませる]
頭の中でその作品を実際に演奏しているイメージを膨らませてみましょう。これだったらお風呂に入っている時でもできますよね。今の自分の実力でできないことがあったとしても、妄想の中でだったら見事に演奏できるわけで、そうした素晴らしいイメージを構築する力は、実は音楽をする上で非常に大切なものなのです。
いかがでしょうか。思いついたものを挙げてみましたが、トランペットを吹かなくてもこんなにできることはたくさんあります。
次にトランペットが吹ける時間がある場合、もちろん1人で丁寧に譜読みをすることがメインになると思うのですが、オススメなのは、誰かと一緒に譜読みすることです。
[誰かと一緒に譜読みをする]
お互いのイメージを出し合って一緒に演奏すれば譜読みスピードも大幅に加速します。そして何と言っても心強い。違う楽器やパートとの共通認識が生まれるし、間違って譜読みした箇所も見つかるかもしれません。誰かと一緒に演奏していると、曲作りモードになってしまいがちですが、作品を理解することが目的ですので、進行などを見失わないように注意しましょう。
時間がないのではなく、作っていないだけ
上記のように努力をしても、やはりスキマ時間だけではしっかりした譜読みをすることはできません。集中した譜読みや楽器を吹く時間をどこかで確保しておきたいものです。
そもそも、私は「時間がない」と言って譜読みをしていない人に対し、いつも「なぜ譜読み時間をスケジュールに組み込まないのだろう」と思っています。
スケジュール、と言うとどうしても合奏練習の時間とか、レッスンの時間など、自分以外の人と何かをする時間だったり、授業や会議など先方から指定されたものを指すように感じがちですが、自ら「譜読みの時間」をスケジュールに組み込み、確保すれば良いのではと思うのです。
例えば「土曜日の午前中は譜読みのために他の予定を入れないぞ」と事前にスケジューリングしておくと、その時間内になんとか形にしようとするプレッシャーが生まれ、集中して取り組むことができます。短時間で形にする習慣がつけば、その次の新曲が手渡されても、それほど時間を要しないで済むかもしれません。
予めスケジュールに組み込むことで睡眠時間を削るとか、他の予定をキャンセルしなけらばならないことも減るはずです。
まとめ
いかがでしょうか。楽器を吹く時間がなくても、さまざまなスキマ時間を工夫して利用することでかなり譜読みは捗ります。
私自身、スケジュールの中に譜読み時間を予め確保したり、レッスンとレッスンの間の時間を最初から譜読み時間として決めておくなど、今回のお話しは私自身が実際に行なっていることを元に書きました。もちろん、あまりにギュウギュウに予定を入れすぎると休息する時間が全然確保できずに体力が持たないので、休憩する時間も大切です。
結局はメリハリということになるのでしょう。
毎日が忙しい方はぜひ参考にして欲しいですし、時間に余裕がある方も効率良い譜読みを目指してぜひ実践してみてください。
それではまた次回です!
荻原明(おぎわらあきら)
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