#046.脱力 〜言葉の受け取り方〜

楽器を演奏していて「脱力しなさい」と言われたことはありますか?


それを言われたからには、力が入っている、力が入っているように見えるからであると思われます。そして言葉の中に「力が入っていることはよくないことだ」という意味が込められているのも想像できます。


ではみなさんは「脱力しなさい」と言われてどのような行動に出ますか?


「脱力」という言葉の危険性

まず、脱力をする場合には体を一旦リセットすることが必要です。


しかし、よく見かける2つの良くないパターンがあります。ひとつは力が入っている状態をキープしながら「力を抜かなければ!抜かなければ!」と力を抜くことに必死になり、結果的にもっと力が入っている「綱引き状態」になるパターン。


そしてもうひとつは、全身の力をほぼ全部抜いて軟体動物のモノマネのようになるパターン。お子さんに多いです。真面目にそうやっているのか、ふざけているのかは定かではありませんが。


このどちらも、なぜ脱力しなければならないのか、力むことで何が不利なのか、具体的にどこを脱力すべきなのか、それを理解しないと解決しないのですが、それは指導者がきちんと現状を伝えて、どのようになることがベストかを理解してもらい、そして実験的に何度も実践する時間を用意する道筋を立てて伝えなければならないことであり、それを指導者が行わなずして生徒さんに「脱力!」もあったもんじゃない。


ですから、レッスンを受ける側の方は、それが何を意味しているのかわからなかった場合きちんと質問をするべきです。そのためには指導者はそうした場面を作り、生徒さんは質問する勇気を持った信頼関係が成立している環境作りを目指すことがレッスンを円滑にするために大切なのです。

理想の結果をイメージしていますか?

さてこの「脱力」という言葉にはじまるレッスンでのいわゆる奏法的アドバイスが話題に上がった時、生徒さんは「理想の結果」という「目標」を明確に持つことを忘れないようにしましょう。


奏法について解説されると、どうしても数学的、機械的、機能的、法則的状態に陥りがちです。これを僕は「取扱説明書だけを見て操作をしている」と例えます。家電製品の機能を使うために説明書を読んで書かれている通り順番に設定していく。機能は果たしますが、なぜその機能を使えたのかが人間側がわからないままなので、再度同じことをする際にまた説明書を開くことになりますし、押し間違えた時に修正できません。


目的地まで誰かの後ろを付いていくだけだと、どうやってたどり着いたのかわからないのでひとりで帰れない、そんな状態とも似ていますね。


要するに、「その奏法、体の使い方がきちんと機能すると結果的にどうなるか」を予めイメージし、持ち続けておくことが大切で、それを持っていないと途中で我にかえり「…ところでいった私は何をしているのだろう?」となりがちです。


無我夢中で音を出し続けて、何度も何度も吹きまくる「数打ちゃ当たる」タイプの練習をしてしまう方はこの状態に陥りやすいので特にご注意ください。練習は効率的に、実験は失敗を恐れずに一回一回丁寧に行いフィードバックすることが大切です。

あまり考えず、言われたことに従う受け身タイプの方もご注意ください。


言葉には順序が生まれてしまう

例えば自転車を運転するまでを言葉で説明してみましょう。

自転車の横に立ち、左右のハンドルをそれぞれの手で握ります。その後、自転車側にある足を上げ、またいでサドルに腰掛けます。両足はそれぞれ左右のペダルに乗せ、踏み込み、回転させることにより発進します。


実際にはそれほど難しいことでもない行為が言葉にすると難しい印象を受けます。難しくしている原因は言語量が多いことと、実践的ではないからです。


そして、言葉にはどうしても順序が生まれます。実際自転車に乗る際にも、言葉なのでひとつずつ書いていかなければならなかったものが実は同時に起きていることだったり、いちいち書かなくても当然そうなることも含まれてしまいます。


したがってトランペットの奏法に関して考える際にも「結局どうなるのか」を頭の中でイメージし構築することと、あとは実際にやってみることです。できるなら、レッスンで教わりながら実際にやってみると非常にわかりやすいです。自転車に乗るときも、乗りかたを解説してもらいながら、しかもお手本を見せてもらいながらやれば言葉数も少なくて済みますね。最初はひとつひとつ確認して順序を理解していくのですが、だんだんと行為や言葉が繋がっていき、「要するにこういうことか!」を求めていくこと、そしてそれが常に自分のイメージした理想の結果であることが大切です。


レッスンや教本、文字によるアドバイスを受け取る際には、「結局何が言いたいのか」「何ができるようになるのか」「何を目指すのか」を持った広い視野で捉えましょう。


ということで今回はここまでです。

それではまた次回です!




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ラッパの吹き方:Re

ブログ「ラッパの吹き方」が10年目を迎えて新しくなりました! タイトルの「Re」は「Reconstruction(再構築)」とか「Rewrite(書き直し)」の意。 なので「ラッパの吹き方 ”リ”」と読んでください。