#051.譜面台 その1(畳み方、保管の仕方編)

中学生の時、吹奏楽部で使っていた譜面台がウィットナー社のもので、高校の吹奏楽部も同じ譜面台でした。音大は場所によって譜面台が違っていたのですが、現在講師をしているプレスト音楽教室で使っているほとんどの譜面台も、家にあるのもウィットナー。

このように私がこれまでの人生で出会って使ってきた譜面台がウィットナー社なのですが、そういう方、きっと多いと思うのです。

私はこのブログとは別に毎日好き勝手に書いている「別館」というブログがありまして、そこで先日教室の譜面台について書きました。

音楽教室ですから、当然譜面台に接する機会の少ない初心者の方も多くいらっしゃり、もしかするとそうした方が使い終わった後にどのように畳めば良いのかわからず、このようなことが起きているのかもしれません。

それについてはほとんどの場合問題はないのですが、このウィットナーの譜面台は畳み方を間違えると次に使う際、開かないことがあり、それでも強引に開いてしまうと、意外に柔らかな素材でできているこの譜面台は、グニャッ!と歪みが生まれてしまうのです。


部活の時の譜面台はそのようにして生まれたグニャグニャ譜面台のほうが圧倒的に多かったと記憶していますが、そうなると譜面を乗せても不安定で、ずり落ちてしまうなど、演奏の妨げになることもあります。


そこで今回は譜面台の正しい扱い方について解説して参ります。



ポイントは対角線上の部分

ウィットナーの譜面台は対角線上にある部分をどのようにするかで決まります。まずは正しい畳み方。

このように、対角線上にある部分をV字になるように折り曲げます。そうすると、譜面を乗せる外枠部分が上に出るので、それを半回転収納して終わり。これが正しい畳み方。いや、ブログの1回分を使って解説するほどのことではありませんでしたね。それではまた次回!...と言いたいところですが、もう少し続けます。


この初動を間違うといろいろ問題が起こります。最も多いのがこのように逆V字にして畳んでしまった場合。この状態ではきちんと噛み合いません。


そのまままとめて折り畳んでしまうと、見た目は正常に畳まれているように見えてしまいます。だからこそ畳んだ人は次に使う時に何が起こるか想像もつかないわけです。

では、この状態で畳まれた譜面台を開こうとするとどうなるか。

こうなってしまうのです!この時点ではまだちょっと開こうとしているだけなのに、すでに歪みが起きています。そして、強引に力をかけれると開いてしまうので、理由を知らずに「あれ、この譜面台開かない!エイッ!」とすることで譜面台はすごい形に歪みます。さすがにそれをわざと生み出すのははばかられるのでやめておきます。教室備品だし。


したがって、もし譜面台を開こうとした際、このように2本とも上がってに来た場合は、短い方だけを下にさげてから開くようにしてください。この譜面台はきちんと位置が定まっていれば絶対にスムーズに開くようにできています。ですから、何かがひっかかっていると思われた場合は絶対に力で強引に開かないように注意してください。

ということで覚えておきたいのはこれ。


『畳む際には、対角線をV字にする』


です!



保管の仕方

畳んだ譜面台をどのように保管しているのかは、団体によって違うと思います。僕が経験した中では、購入時に入っていた箱に毎回きちんとしまっているところがありましたが、素晴らしき丁寧さですね。確かに箱に入れて片付けるのがキズも付かず、キレイに並べられるので最も良いと思います。

ただ、どのような保管方法であれ、ひとつ提案したいことがあります。それは、

ネジをユルユルにして片付けない


ということ。確かに、ネジをギュウギュウにして長期保管すると、ネジがきちんと閉まらなくなる可能性があるので、それは良くありません。しかし、全部のネジをユルユルにしている譜面台を手に取ると、譜面を乗せる首の部分が勢い良く折れまがってきて指や手を挟む恐れがあります。僕は実際に何度も経験しています。ものすごい痛いし、演奏者としては指や手のケガは最も避けるべき部分のひとつですよね。また、譜面台の高さを調節するネジがゆるいと、譜面台を持ち上げた時に勢い良く伸びて足に刺してしまったり、ヘタをすると楽器と接触する可能性すらあります。

ウィットナーの譜面台はすべて金属でできていて結構重いので、指を挟むと本気でケガしますし、楽器にぶつけたら簡単に凹みます。

ですので、次に使う人のことを考えてそれぞれのネジを軽く締めておくことを切に願います。



脚について

吹奏楽部、特に木管楽器に多いイメージなのですが、脚を極端に狭くして使っている人がいます。


隣の人に接触しないようにしているのでしょうか。その理由はわかりませんが、この状態はどう考えても不安定ですよね。実際譜面台を倒すのを何度も目撃したことがあります。

脚は適度に広げて、最も安定する状態を見つけてください。


譜面台は凶器になりかねない

譜面台は結構不安定です。特に、部活動や練習場が狭い場合、譜面台が立ててあるところを強引に通過した際、カバンや服が引っかかって倒してしまう事故を何度も見たことが...というか、そんな他人事ではなく被害者になったことがあります。


これは私自身の体験談ですが、合奏の休憩時間に、自分の楽器をイスの上に置いて席を外していたとき、誰かが私が使っていた譜面台に接触し、譜面台が楽器に向かって倒れ、接触。見事マウスパイプのど真ん中がグニャっと凹みました。


笑えない。この時のショックは30年近く経った今も鮮明に覚えています。だから席を立つ際には(移動の際にも!)必ず楽器ケースに入れましょう。自分の楽器は自分で守るのです。


あと、こうした足の細い安定性が欠けている折り畳み式の譜面台では特に気をつけたいのですが、乗せる譜面は極力軽くしておきたいものです。僕が所属していた中学校の吹奏楽部はポケットクリアファイルをどんどん追加できるこれを全員共通で使っていました。

最初の頃は良いのですが、学年が上がるにつれて入れる楽譜の量がどんどん増えて、最終的には入りきらないくらいパンパンになりますから、重量も相当なものです。その重い塊は不安定な譜面台の上では耐えきれなく、また厚みもあるためにズリ落ちる事故が上級生になると多発しました。

もし同じような個人譜面管理をしている団体があったら、ぜひ保管用ファイルを用意し、次のコンサートや練習で使うものだけを分けておくことをお勧めします。私のように楽器が破損したのは、楽譜のファイルが重かったから、という理由も大きいのです。


ということで譜面台の扱いや管理の仕方についてお話ししました。次回も譜面台についてのお話しが続きます。次回は演奏時の譜面台の位置と演奏コンディションの関係について解説します。



ということで今回はここまでです。

それではまた次回です!



荻原明(おぎわらあきら)


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ラッパの吹き方:Re

隔週土曜日の朝更新トランペットと音楽についてのブログ「ラッパの吹き方:Re」 タイトルの「Re」は「Reconstruction(再構築)」とか「Rewrite(書き直し)」の意。 なので「ラッパの吹き方 ”リ”」と読んでください。 荻原明(おぎわらあきら):トランペット奏者、東京音楽大学講師、プレスト音楽教室講師