「1日休むと3日遅れる」。この言葉聞いたことありますか?
どこまで本気だったかわかりませんが、私は中学生の時に部活の指導者によくこの言葉を投げられました。
都市伝説や迷信には生まれたきっかけと意味がある
こういった「都市伝説」とか「迷信」の類いは吹奏楽部にとても多いですが、都市伝説や迷信がなぜ生まれたのか、発端や経緯を考えてみるといろいろ見えてくるものがあると思います。
例えば「嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれる」とか「雷様におヘソを取られないように」なんて言葉、聞いたことがありますよね。
閻魔様のほうは結局のところ「嘘をつくと怖い思いをするよ」という恐ろしさを心に植え付けることで子どもに正直に生きてもらおうとした大人が作り出した言葉なのでしょう。
雷様におヘソを…というのは諸説あると思いますが雷が鳴ると突然大気が不安定になり、土砂降りになることが多いですが、そうした気象状況は急激に気温が下がるために、お腹を出して寝ていると冷えてしまうから気をつけよう、ということを子どもでもわかるように伝えているのではないか、と思われます。
では「1日休むと3日遅れる」はどうでしょうか。
1日練習しないで3日前にタイムスップなどするはずありません。一昨日練習したことの記憶がない方、いるでしょうか。試験休みで1週間部活ができなかったら1ヶ月近く前までの練習がすべて消去されている…わけがない。
ですから当然これも「サボったら上手にならないよ」とか、合奏で休むとみんなに迷惑がかかるから、常に全員参加させるための戒めなのでしょう。
個人的見解ですが…
ただですね、これは完全に個人的見解なのですが、3日戻るは無いとしても楽器を吹かない日があるとフィジカル面の感覚が鈍り、コンディションが不安定になる経験は何度もしてきました。どれだけ自分のベストな奏法を頭の中で理解していても、感覚が鈍って今まで演奏していた状態を再現するピント合わせができないのです。このいわゆる不調が長くて数日続いてしまうことも過去ありました。逆に毎日コンスタントに楽器を吹いていると安定した状態をキープしている自覚も持っています。ですから私はその日にレッスンや演奏の仕事がないオフの日でも必ず毎日音を出すように心がけています。
当然これは私がそうであるだけです。こうしたものは「個人差」があると思っていますから「絶対毎日音を出さないと上手になれませんよ!」などとは思っていませんし、当然そのようなことをブログでもレッスンでも言うことはありません。
私も楽器を吹かない日を設けてもコンディションをキープできる方法があるのではないか、精神的なものが影響しているだけではないのか、などいろいろ考えて実際に吹かない日を用意して実験したこともありますが、結局毎回調子を崩してしまうために恐ろしくてもうやっていません。
演奏する「感覚」のバランスが崩れやすい人間なのだと自覚して、だったら自分はどのようにすべきかを貫いているだけです。
こんな人間、演奏を生業としている他の方々からすれば「何とヤワな奏者だ」と思われてしまうのは覚悟の上です。しかし、長年の経験でわかった自分のコンディションバランスについてはどうしても否定はできませんし、毎日吹いて安定していると精神的にも安定するので、健康な生活を送るためにもそのようにしているのです。
練習場所がない!
これらは私自身の話ですが、どんな人でもやはり楽器を吹かない時間が長ければ感覚が鈍ってベストな状態に戻すまでには少なからず時間を必要とします。特に今は楽団の活動を休止しているところも多く、個人練習するにも公共施設の使用制限があったり、カラオケはやっぱり不安だったりと難しいところです。外で練習するにしても気候でだいぶ影響を受けるし、そもそもあまり楽器を外に持ち出すこと自体が良いとも思えません。
プラクティスミュートを使用するのも良いですが、どれだけ高性能なミュートであっても、「音を遮断すること=空気の流れをせきとめること=通常よりも高い空気圧になる」ので、通常のオープン状態とは絶対にバランスが異なります。プラクティスミュートなのにプラクティスにならないのでは意味がありませんから、必ずその違いを理解して、内容を制限するなどの工夫は必要です。
超pp練習
久々に楽器が吹ける!となれば、おもいっきり音を出したくなる気持ちはとてもよくわかります。しかし、しばらく楽器を吹いていなかった場合、最初は丁寧なセッティングによる丁寧なウォームアップからスタートしましょう。
自然に音が発生し、良い音色、良いピッチで楽器が答えてくれる、そんな無理のない状態を見つける時間にしてください。
これらを実践するためには必ず正しい理論を持っていることが大切で、すぐに結果がでなくてもパワーでごまかさないことです。
今年のコロナ騒動で講師をしている音楽教室も営業ができない期間があり、音を出したくても出せない生徒さんも大勢いました。その解決策としてオンラインレッスンを用意したのですが、トランペットの場合、家で音が出せないからオンラインレッスンは無理だと結論付けてしまう方も大勢いらっしゃいました。当然と言えば当然です。吹奏楽曲やオーケストラの曲を思いっきり吹くのは無理でしょう。そこで、防音ではないマンションであってもレッスンや練習が可能な「超pp練習」というものを提案させていただきました。
これは、テレビの音量よりも、会話の声よりも小さな音であることを条件をしたウォームアップであり、音の出る原理やセッティングなどの最も重要な基本について再確認し、下のB音を自然発生させて、音の高さが変化する仕組みを理解すると共に、超ppでもかなりフレキシブルなコントロールができるところまでをじっくり時間をかけて行うレッスンメニューです。
生徒さんからはこの方法によって、今まで以上に無理なく音が出せるようになった、音域変化が楽になったなど嬉しい結果をたくさん見せていただきました。やってよかったと思いましたし、どんな状況でも模索していけばできることはたくさんある、という自信にもつながりました。
そんな生徒さんのひとりで、吹奏楽部の顧問もされている学校の先生の「おのれー」さんが自身のブログでこの「超pp練習」について書いてくださっています。ぜひご覧ください。
この練習方法は自宅で音が出せないから仕方がなく実践したものではなくて、演奏の基本となる重要な考え方だと思っています。ですからこの先も多くの方に実践していただきたいと願っています。
宣伝になっちゃいますが、ご興味ありましたらぜひ一度レッスンにお申し込みください。継続してレッスンを受ける一般的な方法だけでなく3ヶ月限定で何度でもレッスンが受けられる「トライアルコース」というものもあります。対面も音出しができないご自宅からのオンラインも可能ですので時間や場所に縛られません。
オンラインレッスンにつきましては
こちらをご覧ください。
プレスト音楽教室トランペットクラスの詳細はこちらです。
レッスンで生徒さんから、楽団の練習が再開した!とか年明けから始まることになった!などホッとするお話しが少しずつ聞こえてくるようになりました。
具体的に再開時期が明確になってきたら、逆算して練習計画を立ててみましょう。丁寧なセッティングとウォームアップからスタートして、徐々に曲を吹くコンディションへと戻していく。そのためにはどのくらいのペースで練習すれば良いか考え、レッスンに行ってアドバイスを受けて参考にしてみよう、公共施設の予約をしておこうなど。
ともかく、楽しく音楽ができる日が早く戻ってきて欲しいですね。
それではまた来週!
荻原明(おぎわらあきら)
[明日締切!]トランペットオンライン講習会、次回は11月29日(日)「アーバン金管教本について 前編」です。ぜひご参加ください!
トランペットから音を出さない聴講型のオンライン講習会なので、ご自宅からでもご参加可能です。次回は「アーバン金管教本について 前編」がテーマです。
膨大な情報量のアーバン金管教本。どのように使うことが効率的なのかカテゴリーに分けて解説します。教則本という存在の使い方を理解するためにも参考になります!
もし予定が合わずリアルタイムでご参加いただけない方は、見逃し配信のご視聴申し込みもご用意しております。
詳しくはプレスト音楽教室オフィシャルサイトをご覧ください!お申し込みもこちらで承ります。
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