レッスンで演奏中の生徒さんが、ほんの少しミスをして(それがもはやミスとは言えないレベルでも)、ハッと楽器を口から離してしまう、そんな瞬間にたびたび遭遇します。
気持ちはとてもよく分かります。
こうなってしまう理由は大きく分けて2つあると考えています。
ひとつは、個人練習時のクセが出てしまっている状態。
個人練習は誰にも指摘されずに好きなように音が出せる反面、緊張感の維持やその時の目的・目標を明確に置かないとどうしてもルーズな時間になりがちです。
また、個人練習時に「ミスをしたらできるまで何度でも繰り返す」という根性練習が習慣になっていると、ミスした瞬間(もしくは自分が納得できなかった瞬間)吹き直すクセがついてしまいます。
最後までミスをせずに通す練習というのが昔あって、だだし「ミスをしたら最初に戻る」ペナルティが科せられるのです。こんな練習していたら最初ばかり演奏できるようになって作品にムラができるだけでなく、練習のあり方からどんどん離れていく単なる根性論の助長でしかないわけです。
もうひとつはミスを自ら隠そうとする心理が働いた時です。
様々な経緯があると思いますが、間違えたことに対して指摘したり、最悪叱ることが多い指導者の下で演奏した経験がある方に多い印象です。人間、怖い思いはしたくないですから、ミスした瞬間早々に自首するために楽器を離して「すいません」と言ったり、もしくはバレないように、指摘されないようにごまかそうとするようになるわけです。そうさせてしまったのは指導者がすべて原因です。
吹奏楽部でよくありますが、楽器を口から離した瞬間「すいません」と謝罪するはハッキリ言いますが間違った教育です。私は最初、質問をしているのかと思ったのですが違いました。ほぼ全員が毎回謝罪してくる光景にゾっとしたのを覚えています。要するに怒られる前に謝っておく、ということですよね。あなたたちは軍人かと。昭和かと。
それを放置させている指導者は本当に考え直したほうが良いと思います。
間違いを指摘するのが指導者の役割ではない
とは言えミスはしないに越したことありません。ただ、指導者は間違えたことを指摘するのが仕事ではなく「今後どうしたらミスが減るか」を指導するのが仕事です。ミスをした瞬間、それは過去のことになり、咎めてもそれはすでに「たられば」でしかなく、誰にもどうすることもできません。過去のミスを指摘することは演奏者も指導者もただストレスが溜まるだけの非建設的な行為だと思います。
私のレッスンでは、「通してみましょう」と伝えた時にはミスしようがなんだろうが最後まで(もしくは指定した箇所まで)止めずに絶対に吹き通すようお願いしています。仮に途中で音が出なくなっても、違う音を出しても、リズムを間違えても、その後できるだけ迅速にリカバリーしようと努力することは合奏などでも役に立つスキルとなります。
練習には大きく分けてこのような「通す」場合と「短い範囲を繰り返す」場合の2つあると考えられますが、大切なのはそれぞれにどのような目的、目標を持たせるかです。
単にパラパラっと吹きたいところを吹くことは練習にはなりませんから、必ず意味のある練習になるよう心がけましょう。
ミスはしないほうが良いです。しかし、ミスをしたことによって「なぜ今ミスしたのか」を知ることができ、「このようなことをするとミスをしてしまうのか」という材料をひとつ手に入れることができたと考えれば、練習時に起こったミスも大切な経験であると言えます。ぜひ前向きに楽しく練習をしてください。
それではまた来週!
荻原明(おぎわらあきら)
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だったら音量が大きくなくて、意味のある練習であれば問題ないわけです。
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