#089.音が割れる原因

前回に引き続き先日1月9日に開催致しました「トランペット何でも相談室・オンライン」という企画でお答えしきれなかったご質問の回答をこちらでさせていただきます。

今回の質問はこちら。


質問========================

音が割れてしまいます。両方の唇が震えているというか、1オクターブ下の音も一緒に出てしまいます。

チューニングBbよりも下のFから上のFまでがよく割れます。改善方法を教えてください。

(原文から一部修正させていただきました)

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とのことでした。


実際のところは演奏している状態を見せてもらわないとわかりませんので、考えられる可能性を挙げてみます。


音の出ている部分はどこか

トランペットから音が出ているのが「唇」というのは周知の事実ですが、もっとクローズアップして、唇のどの部分が振動しているのか(意識すべき点は唇の更にどこか)を理解することがまず必要です。


唇の意識すべき大切な部分は「口の中に入り込んだ唇」です。多くの方は外の部分(鏡で顔を見たときに見えている部分)を意識する方が多いのですが、そこはマウスピースと接触して「安定」を生み出す部分です。


トランペットから音を出すためには、マウスピースを当てることによって前歯の間(口の中)に食い込んだ唇部分が最も重要であると理解することが大切です。これを理解してセッティングを意識するだけでノイズが消える可能性もあります。というのも唇を尖らすようなセッティングをした際に起こりやすいのです。


アパチュアが重要

音を出すのは唇かもしれませんが、その唇の振動を発生させるために必要なのは「空気の流れの発生」です。したがって、上下の唇の間に空気の通り穴(=アパチュア)を作ることが、音を出すためのセッティングと言っても過言ではありません。


そして、その空気の流れるアパチュアの形状によって発生するサウンド、鳴り方が決まります。ということは、願っていない音やノイズが発生するのもこの部分であるということです。


かと言ってアパチュアの形状が厳密に「こうでなければならない」ということはなく、雑にセッティングしてしまったり、唇とマウスピースの貼り付き方がいびつだったり、唇とリムの貼り付きが弱くて(滑って)いろいろ変化してしまうなどもその原因になります。

セッティングにかける力がユルユルであることも原因になります。


そして最も起こりやすいのが「口周辺に必要以上に力をかけることでアパチュアサイズがふさわしくなくなったり、アパチュアが潰れたりする状態」です。


たくさん試してみつけてみよう

唇が口の中にどのくらい入り込むか、そうした分量は、実際にいろいろと試してみてベストを見つけてください。そして、逆に「こうなるとノイズが発生しやすいというのも一緒に発見しておくとトラブル防止には良いと思います。


研究や実験はすればしただけ自分の経験となりますので、ぜひ時間をかけてじっくり試してみてください。


ということで今回はここまでです。

また来週!



荻原明(おぎわらあきら)

コロナ禍で思うようにトランペットが吹けなくなった方、楽団の練習も本番も奪われてしまった方、とても多いと思います。

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ラッパの吹き方:Re

隔週土曜日の朝更新トランペットと音楽についてのブログ「ラッパの吹き方:Re」 タイトルの「Re」は「Reconstruction(再構築)」とか「Rewrite(書き直し)」の意。 なので「ラッパの吹き方 ”リ”」と読んでください。 荻原明(おぎわらあきら):トランペット奏者、東京音楽大学講師、プレスト音楽教室講師