前回より「新入部員のパート決め」と題してお話を進めております。
吹奏楽部はどうしても特定の楽器に希望が集中しがちですが、その理由は「その楽器を知らないから」という単純な理由でしかないだけなので、だったらすべての楽器の知識を平均的にすれば良いのでは、というお話をしました。
そのための対策を7つ思いついたので、前回の記事では1つ目を紹介しました。今回は2つ目から書いていきます。
前回の記事はこちらからご覧ください
それでは、続きです。
2.合奏の中に入ってもらう
部活に足を運んでもらえるようになったら、合奏の中に入ってもらいましょう。これは演奏をしてもらうのではなく、いろいろなところに座ってもらうことで合奏の迫力を体感してもらい、それぞれの楽器の音や特徴知ってもらう目的です。
また、その合奏中にわざと特定の楽器を演奏しない状態だと曲がどうなるのかを聴いてもらってください。例えば低音楽器全員休み、打楽器全員休み(特にポップスやマーチ)、ハーモニー楽器全員休みなどをすると、それぞれの楽器の重要度を理解してもらえると思います。
3.魅力をアピールする
演奏している姿はどんな楽器でも素敵ですから、ソロや同属アンサンブル、パート練習の演奏をたくさん聴いてもらいましょう。クラリネットの希望者はいても、バスクラリネットに希望者がいない、なんてこともよく聞く話ですが、クラリネットアンサンブルでバスクラリネットの重要性やかっこよさをアピールすれば、新入部員の印象が変わるかもしれません。
4.活躍する場面を紹介する
実演の他に、プロの演奏を動画や音源でも聴いてもらいましょう。クラシックのソロや室内楽、コンチェルト(協奏曲)だけでなくジャズ、ポップス、映画音楽やジブリ、ディズニー、ゲーム音楽やアニソンなど、それぞれの楽器が様々な場面で魅力を発揮している姿を解説しながら紹介してみましょう。
ただ、これをするためには先輩方の知識量が必要です。先輩方、これができる自信はありますか?
5.難しいと感じさせない演奏体験
楽器の演奏体験は必須です。可能な限りすべての楽器に触れ、音を出してみることで魅力に気づくことが一番多いと思います。ただ、今はコロナで難しいところもあるかもしれないので、もどかしいところです。
楽器体験で大切なことは「難しいと感じさせないこと」。音が出た!楽しい!もっと吹いてみたい!と思ってもらうよう心がけます。ということは、先輩方は的確な音の出し方を伝えるスキルを持っていなければなりません。そのスキルが高ければ高いほど、その楽器に対してのなじみ度が高くなることでしょう。先輩方、いかがでしょうか?
6.先輩方がその楽器をどれだけ愛しているか
新入部員は、ふとした瞬間なども意外に観察しています。例えば先輩方が自分の楽器を乱暴に扱っていたり、つまらなそうに演奏していたら、楽器の魅力以前に「そのパートには入りたくない」と思ってしまうことでしょう。
言い換えれば、その楽器を心から好きで、演奏することに情熱を持ち、パートの雰囲気が明るく楽しいと、それを理由に希望するかもしれません。
あと、盲点なのが「他の楽器(パート)を尊重している」ことです。すべての楽器、奏者が深い信頼関係のもと活動し、演奏していることはとても重要です。仲が悪いのは結構すぐバレます。
7.吹奏楽に不要な楽器などないと伝える
これは部長さんや指導者のすべきことかもしれませんが、すべての楽器が吹奏楽にとって必要不可欠な存在であることを真面目に説明する場面も必要です。僕は以前指導していた学校で新入部員が希望パートを提出する前に全員集まってもらって必ずお話していました。
その時は、「サッカーはゴールを決めた人が注目されやすいけど、そこまでパスをつないでいく人たちや、相手チームに得点をさせないためのディフェンスやゴールキーパーがいるから試合が成立している」という話をした記憶があります。内容は何でも良いと思いますが、わかりやすく理解できる内容で、きちんとお話してみましょう。
ということで新入生のパート決めをする際、人気のある楽器とそうでない楽器のムラを少しでも減らす方法についてお話しました。
次回は角度を変えて、指導者が陥りやすい根拠のないパートの決め方についてお話しします。
唇厚いとトランペットは向いていない?本当にそうでしょうか。
それではまた来週!
荻原明(おぎわらあきら)
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