前回より「テクニカル(演奏技術)練習」についてお話ししております。今回は後編です。
前回をご覧になっていない方はぜひそちらからご覧いただければと思います。
客観視
曲を練習する上で「今自分が手に入れるべきテクニックとは何か」を理解するにはどうしたら良いでしょうか。
まずは当然「自分ができないところとその理由を具体的に見つける」ことです。具体的であることが重要です。「なんかこのへん難しい」ではありませんし、「この小節のこの部分」でもまだ足りません。もっと具体的に、です。
「この音からこの音に行く時、こうしようと心がけているのに、実際はこんなことが起きていて結果が伴わない(だからこのテクニック練習が必要なのだ)」
ここまで見抜くことができるのが理想です。
練習が嫌いになってしまう最も大きな理由のひとつは「現状の自分にがっかりしてしまうから」だと思います。そしてそれを克服する具体的な方法が見出せないと、ゴールが見ない果てしなさを感じ、「面倒臭い」などと投げ出したくなってしまうわけです。
「上手に演奏できない」とか「下手だなあ」「何度やってもうまくいかない!」など、そうしたネガティブな部分がクローズアップされてしまうと、メンタル部分を削るだけで結果がついてきません。
かと言って、できないところを建設的に見抜くのは最初はなかなか難しいことです。ではどうすれば良いか。それは「客観視」です。
自分の演奏を離れたところから聴く。そんなこと幽体離脱でもしないと無理かと思いきや、現代では録音録画という技術がありますから、何かしらの方法で自分の演奏を撮ってみましょう。
そして録音した自分の演奏を聴いた時「演奏していた時と実際に聴いた感じが全然違う!」と思った方ほど日頃、客観視ができていない傾向にあると思ってください。これは経験も必要ですから、少しずつ何度も繰り返し、リアルタイムで演奏している時に「この演奏は客席ではこのように聴こえているんだろうな」と理解できることを目指してください。
テクニックは「音楽」をするためにある
さて、テクニック練習についていろいろお話してきましたが、よく「技術」と「表現」を分別してしまうことがあります。音楽コンクールや、フィギアスケートなどでも見ることができますね。しかし、私は表現と技術は別ではなく「表現力は技術力によって実現する」と考えます。
技術と表現を分けて考えてしまうから、練習の目的が不明瞭になっていると思うのです。なぜなら演奏の目的、これはすべて「音楽」をするためだからです。聴く人に何かを伝える(伝えたい)からこそ演奏は存在するのですから、楽器を演奏する時には常にその先に「聴く人」「伝えたいこと」があるようにしてください。
ということで、2週に分けて「テクニカル練習」について考えてみました。みなさんも練習時間を最大限意味のあるものにするために大切なこと、考えてみてください。
それではまた来週!
荻原明(おぎわらあきら)
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