前回は音楽のお仕事の中から「演奏に関係するお仕事」を紹介しました。
そちらもぜひご覧ください。
音楽のお仕事は演奏をするだけではありません。今回はもっと広く、様々な音楽に関係するお仕事を紹介していきます。
教育・研究分野
教員
いわゆる「音楽の先生」です。音楽の先生になるには音楽大学などで必要な単位を取得し、教員免許を手に入れた上で、それぞれの地域の採用試験に合格する必要があります。ただし、これは公立学校の話であって、私立の場合は学校単位で採用条件等が変わります。
音楽教室講師(所属)
音楽教室に講師として所属し、主に音楽愛好家の方に個人ないしグループでレッスンをする仕事です、講師になるためにはそれぞれの教室や運営会社が提示しているオーディション(試験)などを受けて採用されるのが一般的です。私がメインとしている仕事のひとつです。
音楽教室講師(個人経営)
自分で音楽教室を立ち上げて運営もすべてするお仕事の方法です。多分ピアノ教室が最も多いと思います。
特定の場所を持たずにレンタルスタジオなどを用いて希望があれば個人レッスンを単発で開催する、ということも管楽器などでは多いようです。
あと、カテゴリーがここで合っているか定かではありませんが、映画やドラマなどに出演する役者さんへ演技指導(演奏指導)をする、なんて仕事もごく稀にあります。
音楽大学の講師
音楽大学は大学によっても違うと思いますが、多くの場合は教授などの推薦によって採用されていると思われます。ちなみに私も東京音楽大学の非常勤講師をしておりますが、私の場合は多分異例で、新しく「吹奏楽アカデミー専攻」を立ち上げるにあたって講師の公募があり、試験を受けて採用された、という流れですが、こうした募集は非常に稀だと思います。
音楽大学は学生の個人レッスンだけを担当している先生と、合奏などの他の実技も担当している先生、座学を教えていらっしゃる先生など様々です。私は個人レッスンだけでなく学生と一緒に合奏授業や座学の授業に参加しますし、特定の授業の担当をすることもあります。
音楽大学には非常勤講師、講師、准教授、教授など肩書きが違う方がたくさんいらっしゃいます。
他にも助手という立場で学生の演奏補助や事務作業など学生と講師の間に入ってお仕事をされている方もいらっしゃいます。助手はその大学の卒業生がされていることが多い気がしますが、オーケストラや吹奏楽の演奏補助要員として外部募集をしている場合もあります。
研究者
音楽大学に所属されている先生が行っていることが結果的に多いのかもしれませんが、音楽に関する歴史や理論などの研究を主にされている方もいらっしゃいます。これまでの作曲家が残してきた楽譜に関する研究や楽器についての歴史や変遷、民族音楽、音楽教育研究など多岐にわたります。
リトミックなどの幼児教育、音楽療法
小さなお子さんが音楽に合わせて体をうごかすことで心身の健康や感性を育むリトミックを専門をされている方や、高齢の方や障がいのある方、罹患されている方などへ音楽を通じて五感に刺激を与えるなどで心身の健康を図る音楽療法という分野もあります。これらは専門の機関や音楽大学で学び、資格を取得することが一般的なようです。
バンドディレクター(吹奏楽指導)
主に小中高の吹奏楽部に関わり、実技の指導をするお仕事です。特定の学校に長期的に携わって指導をする場合や、講習会などを含め、単発で指導をする場合があります。特定のパートのみの指導をする場合や、合奏指導(指揮)をする場合など、求められる状況や形式は様々です。しかし、外部から音楽家を雇えるほどの金銭面に余裕がある学校は極めて限られているのが現状で、多くの場合学校の教員が指導に携わることで成立してしまっています。また、部員だった生徒が音大などへ進学すると無報酬で指導を依頼するパターンや吹奏楽や管楽器の経験があるご家族の方(アマチュア)が無償で引き受けるなどが多いために、吹奏楽指導を仕事と定め、収益を得るのは非常に難しいと言えます。
近年学校の先生への負担を軽減する目的で各自治体などが部活動の外部指導員を募集し、指導に関わる形が生まれました。金額は様々だと思いますが、ざっと見た限りでは通常のコンビニのアルバイト程度の時給が多いようです。しかし部活指導は1回の活動時間が非常に短いですから(冬の中学校の部活動は平日ですと1時間にも満たない可能性が高いです)、金額としてはあまり期待できないと思われます。
その他のお仕事
楽器店
大手音楽関連の会社や管楽器専門店などの社員や店員さんのお仕事もあります。特に管楽器専門店の店員さんはこれまでお会いしてきた方のほとんどが音大や音楽系専門学校を卒業されている方、という印象を受けます。
リペア(修理)、製造
楽器の修理や、工場などで楽器などを製造するお仕事もあります。専門学校ではリペアについて学べるところもあります。リペアは楽器店に併設されたところも多いです。
ユーチューバー、ツイキャス(動画配信)
前回の演奏のお仕事に関する記事でも出ましたが、近年新しい音楽に関係する形態として、ユーチューブなどの動画配信によって自身の演奏や知識を公開する方法が出てきました。私もプロモーション的にYouTubeを使って演奏やお話を少ししていますが、正直言って同じことを考えている方は山のようにいて、今の時点でこの方法で収入を得るのは相当頑張らないと難しいです。また、コロナ禍になったことも背中を押して、ツイキャスなどをはじめとした配信サービスで通常のライブと同じようにチケット制の演奏会を開催する方法もだいぶ一般的になりつつあります。
私の場合は「オンライン講習会」という形式でzoomを利用し、ホームページ上で参加募集をかけ、参加権を購入していただく形で自主企画を開催しております。
執筆、ライター
音楽関連雑誌や書籍、コンサートプログラムや、近年減っていますがCDジャケット内の曲目解説などの執筆(ライター、記者)、研究の成果を書籍や電子書籍にしたり、ブログを有料化して購入してもらうことで収益を発生させるなどのお仕事もあります。
このブログは無料で誰でも読めるので収益はありませんが、自分の存在をPRすることが目的で行っています。一方でテーマを絞って連作にし、内容も非常に詳しく書いた記事を有料にして”note”で販売しています。こちらは収益が発生しています。
教則本や関連する書籍の発行も近年大変簡単になりました。例えば私の「トランペットウォームアップ本」は、PDFデータを送ってしまえば、あとは注文があるごとに印刷からAmazonでの販売、発送までを行ってくれるオンデマンドサービスを利用しているため、非常に手軽です(売り上げはかなり持っていかれますが、とにかく楽なので利用しています)。
ということで、今回も思いつくものを挙げてみましたが、ユーチューバーのように時代とともに現れる新しい形態もありますから、これから先も音楽の様々なお仕事が消えたり生まれたり合体したりすることでしょう。
そして次回は少し現実的な「音楽のお仕事」のお話をします。できるだけポジティブなお話をしたいと思いますので引き続きご覧ください!
それではまた来週!
荻原明(おぎわらあきら)
8/29楽典オンライン講習会「in Bb」について学ぼう!
次回の楽典オンライン講習会は「in Bb」について。Bb管トランペットで歌の楽譜を演奏したり、トランペットのパート譜をピアノで音取りすることができると大変便利です。この講習会で学んでみませんか?
前回の様子はこちら。
1回分お安くなっているフリーパスをお求めいただければこれまでのアーカイブもすべて視聴することができるのでおすすめです!ぜひご参加ください!
この回のみの単発購入はPeatixにて承ります
オンライン講習会特設ページは荻原明オフィシャルサイトにございます。
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