#091.ベルが極端に下がる(前編)

トランペットを演奏していてあまりにベルが下がっている状態は、場合によってはコントロールがうまくいかず、思うような結果に繋がらなかったり、上達の妨げになる可能性があります。というのも、トランペットは下唇を含めた顎(あご)の働きが非常に重要で、ベルが極端に下を向いていると、下唇がマウスピースを受け止める「支点」となってしまうため、すべてが機能しなくなってしまうのです。これでは思うように演奏できません。


とは言え、ベルの角度は奏者の体の作りによる影響も多いため、ベルが下がっているからダメだ、真っ直ぐに直しなさいとは決して言い切れません。奏者本人もその奏者に関わる周辺の方や指導者にもこの見極めが重要になります。


それでは、ベルが極端に下がってしまう原因を考えてみましょう。なお、これから挙げる原因が複数関係し合っている可能性も十分にあります。



原因1:歯並び(噛み合わせ)

多くの方はマウスピースのリムと唇が強い関係性を持っているとは考えていても、前歯の噛み合わせや歯並びとの関係性はあまり考えていない傾向にあると感じています。実はこの歯とマウスピースの関係のほうがよほど重要なのです。


最も多い噛み合わせは上の前歯が下の前歯にかぶさる状態です。

ですから、上下の前歯がまっすぐ当たる噛み合わせの方でしたら、ベルの角度もおよそ真っ直ぐに、下の歯のほうが前に出る方はベルは上の方に向かうと考えます。ただし、ベルの角度は歯並びだけで決定するものではなく、唇の厚さやセッティング方法によっても変化しますから、噛み合わせだけでは角度について言い切ることはできません。


では本題ですが、ベルが極端に下がるのはどのような歯並びかと言いますと、歯が前に向かって生えている状態、いわゆる出っ歯です。


私は、可能な限り自分の体の作りに逆らわないセッティングがまず大切だと考える傾向にありますが、しかしこの状態ですと音を作り出すための唇の振動部分の上下位置がずれて、思うように音が出なくなる可能性があります。このような場合は工夫が必要になります。セッティング時の唇の分量調整をするとか、顎の前後位置を若干移動させる方法です(顎関節にダメージが出る可能性があるのであまりおすすめしませんが...)。


このように、まずは噛み合わせについてを理解しておくことが大切です。そして、これから挙げる理由はそれとは関係なく後天的な要因によるものです。要するに「本来ベルがそこまで下がらないはずなのに下がってしまっている場合」です。



原因2:セッティングの問題

セッティングをする際、顎を大きく引いてしまう方がいらっしゃいます。演奏に必要のない筋力を過剰にかけている方に多いです。


トランペットの演奏には力が必要であるとか、楽器に息を入れなければならないと考えていると、口周辺を作りすぎたりして、顎が後ろへ移動してしまったり首が必要以上に下を向いてしまう、他にも楽器を構えている腕や腹筋に力が入りすぎると力を込めた猫背になる場合もあります。


一方で力をかけすぎることで顎を張ってしまう方も多く、この場合はベルが上を向いてしまいます。それを修正するためか、やはり顎を引く(=顔が下を向く)吹き方になっている方もいらっしゃいます。


これらすべてにおいて言えることは、まずは自身の体の作りを尊重しましょう、という点です。トランペットを吹くからと、体を特殊な状態にするのは負担をかけていることなので長続きしませんし、悪いクセを誘発しやすくなります。


自然体でいられることを基準にし、自分の身体と、楽器演奏のバランスを調整していく方法をとるように心がけると、「自分にとって必要なこと(行為、方法)は何か」が見えてきます。この発想からは極端にベルが下がってしまうことは身体的特徴を除いてないはずです。


顎を引くクセはこの他にも、過去に指導者や誰かに「トランペットを演奏する際、顎を引きましょう」と教わったことを意識しすぎた結果、無意識にクセになっている可能性もあります。「顎を引く」という言葉はトランペットに限らずスポーツや様々な場面で耳にしますが、これは「顎を前につき出す姿勢では機能しない人間の運動がある」ということで、要するに顎は引きも出しもしなければ良いと考えてください。普通にしているのが一番良いのです。


ベルが極端に下がってしまう現象には他にも理由があります。長くなってしまうので、この続きは次回とさせていただきます。引き続きご覧いただければ幸いです。



それではまた来週!



荻原明(おぎわらあきら)

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