#105.個人練習について考える その1「理論的に学ぶ」

いきなり質問です。あなたはなぜ練習をするのですか?


A:「そりゃあ演奏できるようになるためでしょう」

A:「もっと上手に、イメージ通りの演奏をしたいから」


確かにそうですね。

ではさらに質問。


その目的を果たすためにあなたはどんな練習をしていますか?


今回の記事はこの「練習の中身」について考えてみたいと思います。



自分の話

中学生の頃「練習について」など考えたことは一度もありませんでした。しいて言うなら「次の合奏で怒られないように全部吹けるようになっておく」という気持ちがあったかもしれません。しかし、吹けないところを吹けるようになるための方法が全然わからなくて、ただひたすら同じところを繰り返しているだけでした。根性練習。でも飽き性なのですぐに「あーもうめんどくせー」となってしまい、結局吹けるところを吹いて楽しんで、バテて音がでなくなって自爆。部活の練習は毎回そんな感じでした。


高校生の時には音大受験を目指していたので、レッスンの課題がたくさんあってそれを一生懸命練習しなければならず、中学生の頃よりも真面目に練習をしていたように感じます。が、やはり練習の質とか、効率的な練習など考えたことがなく、とにかく時間のある限り吹いて吹いて吹きまくるだけでした。質より量。根性根性ド根性。


音大生の時はこれがもっと顕著になり、一日中楽器を吹ける環境になったために座学授業以外の朝8時から21時までとにかくずっと楽器を吹いていました。頭おかしい。


で、上達したかと言えば「全然」です。結局苦手なところはずっと苦手。音ミスも多いし音程も悪い。

今もし過去の自分にアドバイスをするなら、この2つを伝えたいですね。


1.理論的に学びなさい

2.効率的に練習しなさい



[理論的に学ぶとは]

今の僕は理論という道具を使って演奏について考え、実践しています。これは学生時代の反動かもしれませんが、大学を卒業してからはとにかく「なぜ」を追い求め、自分でとことん考えて、何でもやってみる、そんな時間が非常に多くなりました。暇だったからというのもありますけどね。


何でもやっちゃうものだから手に負えないくらい調子が悪くなって自爆することも多々ありましたが、それも含めてとても沢山のことが理解できました。


そうした自爆経験などがレッスンでは非常に役に立っていて、悩みを抱えた生徒さんが、今どんな状態で、それをどんなふうにすれば解決するのか、そのストーリーをすぐ構築できます(解決するのは本人の工夫と努力と継続なのでそこは話は別です)。


自分自身も、とりあえず理論という土台の上で音楽を少しだけ自由に演奏できるようになったかな、と感じることが最近やっと増えてきた気がします。まだまだこれからですが。


このように「理論的」というのは自分自身を観察し、理想を実現するために何が必要なのか、どうすべきかを知識と経験から導き出すことを指します。


めんどくさ!と思うのはよくわかります。なぜならこれは「間接的」だからです。「この曲のこの部分が上手く吹けないからそこだけ解決すれば良い」と考えてしまうタイプの人には最も縁遠い存在なのです。でもそれはその人が悪いのではなく、今の部活動は非常に時間がなくて練習時間がほとんどなかったり、仕事や勉強が忙しくて悠長にラッパを吹いていられない現状があるからです。


だからこそ他の人の力を借りて上達を目指すことが効率的なわけで、そのためにレッスンがあるわけです。


また、もうひとつ理論的に学ぶ際に大切なのが「ウォームアップ」です。ウォームアップで自分の実力を常に最大限発揮できるようにすることが、絶対に必要なので、楽器を吹く時間の中でウォームアップを省くことは絶対にしてはいけません。


そのウォームアップについてはすでにこのブログで詳しく書きましたのでぜひご覧ください。

今回はここまでにします。

来週も引き続きご覧いただければ嬉しいです。


それではまた来週!



荻原明(おぎわらあきら)


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隔週土曜日の朝更新トランペットと音楽についてのブログ「ラッパの吹き方:Re」 タイトルの「Re」は「Reconstruction(再構築)」とか「Rewrite(書き直し)」の意。 なので「ラッパの吹き方 ”リ”」と読んでください。 荻原明(おぎわらあきら):トランペット奏者、東京音楽大学講師、プレスト音楽教室講師